社会福祉法人 向陵会 障害者総合支援センター

乙訓ひまわり園

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構想から開園まで--第1部

福祉施設建設の思い立ちから施設構想のまとまるまで

ここで私が東京での仕事を終えて帰京した頃の乙訓2市1町の「福祉」に関する状況を整理してみたい。

平成5年から6年にかけて、乙訓地域内の心身障害者の認可施設や無認可施設において定員超過や移転、増築等の課題が生じ、平成6年9月、12月には「乙訓の障害者福祉を進める連絡会」から、乙訓2市1町(向日市、長岡京市、大山崎町)の議会に乙訓の北部に障害者の通所施設の早期建設を求める請願が提出され採択された。

次いで、平成7年3月には、通所施設は重症心身障害者も通える施設にしてほしいという要望書が提出された。これを受けて行政のプロジェクトチームが発足し、施設の種類、規模と運営等について検討され用地の取得も試みられたが、いろいろ困難があって遅々として計画は進んでおりませんでした。このような状況の時に東京での仕事を終えて帰京した私はこの情報を仄聞*1して家族・知人らとも相談して、自己所有地を活用して福祉施設の建設を計画しました。7月4日、8月21日の2回、向日市役所を訪問し、健康福祉部部長、課長と面談して乙訓地域の福祉に関する実情・計画等を聞き、これからの進め方を教えてもらう。9月7日に市役所を訪問し市長と面談する。福祉部長、課長の同席有り。このときに自分の所有地を活用して社会福祉法人を設立して、障害者関係の福祉施設建設の意向を伝えると、市長は「その熱い福祉に対する思いを文書にして提出してください」とのこと。

私もここで本格的に福祉のことを勉強する必要が出てきたので行政・知人等の紹介を受けて本による知識のみならず各所の施設を訪問して見聞を広めることにした。まず、長岡京市にある(福)乙訓福祉会の通所授産・更生施設を訪問し、施設長から説明を受け案内してもらう。また、大阪市職業リハビリセンターに所長を訪問し、授産施設の見学をして施設建設に関して指導をお願いする。次いで、福井県で開催された日本育成会全国大会に妻と二人で参加し、2泊3日で本会議、分科会、福祉工場、グループホームの見学に参加した。これは少し後になるが神奈川県の施設「朋」も2人で見学した。また、枚方市の(福)清水園授産施設、交野市の松下福祉工場、大阪府立自立センターも訪問した。

12月12日向日市役所を訪問して市長宛文書「社会福祉法人設立の趣意書」を提出した。この文書は今後の基になる大切な「もの」であるから全文を掲載しておく。

平成7年12月12日 向日市長 岡崎誠之殿 向日市上植野町円山2番地
小野 治
社会福祉法人設立の趣意

私は昭和30年に学窓を巣立って以来40年の間、大阪・東京において社会活動に従事・参画し、今年6月に仕事を終えて帰郷しました。その間3人の子ども達も無事成長し、夫れ夫れ社会人としての責務を果たしつつあります。丁度それと時を同じくして「福祉」、特に心身障害者の療護・授産ということに関心をもつ機会を得ることができました。以来短期間ではありましたが多くの先輩・関係者に出会い、また施設の見学及びセミナー等にも参加して、その必要性を強く認識した次第であります。

戦後50年の時間の経過は大きな地殻変動を起こし、所得水準の向上を背景に出生数の減少と高齢化社会への突入、核家族化の進展と扶養意識の大きな変化をもたらしました。特に乙訓の2市1町の地域においても例外ではなく、急速な都市化の道をたどって『ムラ社会』の長所でもある連帯の意識はややもすると希薄化する懸念があります。これに対応すべく行政当局を中心とする社会的弱者福祉施設も着々と実行に移されておりますが、この時にあたり、私も及ばずながら社会福祉にこれからの余生を捧げることがいままでお世話になった地域に対する報恩の1つではないかと考えております。

ここにおきまして、私のつたない人生経験を生かし、所有地を利用した心身障害者施設の建設を同志とともに志した次第であります。地域の人々の『共生』を目指し、運営にあたっては心身障害者の療護と共に就労訓練をも目的とする社会福祉法人を設立する所存です。この地域においては、高齢者施設はある程度確立しつつありますが、心身障害者施設は非常に少ない現状であります。これをもって、地域における心身障害者福祉施策の一端を担い、その増進に寄与せんと強く念願するものであります。

引き続き乙訓市町会では心身障害者福祉対策プロジェクトチームが発足され、整備すべき施設の種類と定員やその運営等について調査研究を進められたが、事務局から療護施設設置の案が示され建築設計事務所を同道してその計画案を伺って配置設計等の作成を約した。参考になりそうな施設の図面を種々貰って帰った。3月市議会で理事者側は質問に答えて「約2000平方メートルの複合療護施設を検討中」との解答を行った。続いて事業計画・予算表・配置図や側面図も求められ作成し提出した。ただし、この計画は知的障害者と身障者施設の併設は認められないとの府の見解で実現不可能となった。約半年の間の時間と設計費用が無駄になってしまった。いままでに出ている市町会の考え方にこちらからも授産施設を加えるべきとの意見を出してまとまったのが、知的障害者の通所更生(重度者も通える)・通所授産施設及びショートステイ棟となった。定員は各30名ずつで宿泊は最大8名とすることになった。

9月11日、府庁にて第1回の施設整備打ち合わせ会を開催。出席者は府側、障害者保健福祉課長、主事及び振興局課長。向日市、長岡京市各担当課長。こちらは小野及び設計事務所の2名。施設種類、定員等が論議され、特に授産について質問あり。府の決定は11月にずれ込むようだ。事業計画、予算案、配置図、借入金償還計画書を持参して、12月13日市長に説明し施設の運営方針、理事構想についても懇談する。12月19日府障害者保健福祉課、地域福祉・援護課と協議する。地元行政は2市1町各担当課長、法人側は小野と設計事務所の2人。内容は事業計画書、理事名簿、計画建物図、配置図等を提出し説明・協議を行い今後の進め方を方向付ける。平成9年度施設整備計画協議書を早急に作成することになった。

1月27日には、向日市福祉会館にて計画中の福祉施設の説明会を開催。対象者は障害者及びその保護者、関係各施設担当者とする。法人設立の趣意と計画中の施設の種類・定員等を説明し質疑応答を行う。

3月7日、設計事務所部長とともに府庁を訪問し、平成9年度施設整備計画協議書を厚生省*2に提出すべく、地域福祉・援護課及び障害者保健福祉課両課長他担当者と打合せのうえ、協議書を国へ提出することを依頼する。後は厚生省の内示を待つばかり。

*1 読み=そくぶん:ほのかにきくこと

*2 現在は厚生労働省

2007年08月05日 13:02更新
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